発光原理からみた3タイプの照明方法
1.熱放射型白熱発光(白熱電球、クリプトンランプ、ハロゲンランプなど)
物質を高い温度にすると熱とともに電磁波を発するという太古より自然界に見られた現象を明かりとして利用したもの。具体的にはタングステンなどの材質できたフィラメントに電気を通し抵抗により発熱させる方法。使用する不活性ガスの種類やガラス管の形などによって白熱電球、クリプトン電球、ハロゲンランプなどに種類分けされるが基本的な発光原理は同じである。また歴史的にも19世紀後半にエジソンが作った実用化白熱電球からも大きな技術的進歩はない。電気エネルギーの9割近くが熱となるため1ワットの電気エネルギーを与えたときに発生する光の量は10ルーメン前後で3タイプの中では一番効率が悪く寿命も1〜数千時間と短い。発光スペクトルは赤外線を多く含む連続したものとなる。
2.フォトルミネッセンス発光(蛍光灯、水銀灯、メタルハライド、ナトリウムランプなど)
蛍光体などの物質に光を照射し別の波長の光に変換(発光)するもの。蛍光灯の場合は光(紫外線)を蛍光管側面に塗られた蛍光物質に照射し可視光に変換(発光)させている。1ワット当たりの発光光束は約70ルーメンと最も効率がいいが、同じルミネッセンス発光でも以下に述べる電圧を加えただけで直接光が取り出せるLEDと違い、最初に必要な光(主に紫外線)を作り出すためなどプロセスは複雑(高電圧、放電、波長変換など)となり結果、その装置はランプだけではなく大掛かり(グロースイッチ、チョークコイル、安定器 orインバーター)ものとなり小型化できない、ノイズの発生、振動に弱いなどの欠点をもつ。使用後には水銀を含む硝子管の処分も必要。
3.エレクトロルミネッセンス発光(LED)
LED(発光ダイオード)とはトランジスタなどと同じ構造のいわゆるP型N型の半導体を接合したものに電気エネルギーを与えることにより光を発光させるも。LED自体は1957年と蛍光灯に少し遅れた時期にすでに長波長帯である赤から黄緑までが実用化されていたが、照明に使用できる実用的な高輝度白色LEDが市場でてきたのは2001年以降となる。PN接合半導体に直接に数ボルト電圧で順方向電流を流せばいきなり光がでてくるというシンプルな方法であり光源は小さく丈夫になるというのが最大の特徴である。また半導体の材質により特定の波長の光だけを発光 させることも可能である。白色光の全光束量は照明用のパワータイプで50ルーメン/W程度、 小型のディスプレー用では100ルーメン超/Wとなっているが、上記2つの光源と違い発光効率は毎年3割程度の割合で伸び続けている。 尚、白色を得る方法は、蛍光体を使わないR,G,B色の3個LEDを使う方法、青色LED+YAG蛍光体(+赤色蛍光体)、UVLED+RGB蛍光体がありそれぞれ長短所があり目的に応じ使い分ける必要がある。現在、発行効率、価格などの観点から青色LED+YAG/赤色蛍光体による白色LEDが主流となっている。